Bencodeの実装

  • Bencodingはパースしやすい構造

  • BNFから機械的にコードを抽出

見慣れたデータ構造に落とす

Benodingを実装してみましょう。Bencodingで扱えるデータは、Number, String, List, Dictionary でした。これらを、Dartから扱えるようにしましょう。

具体的には、Dartでサポートされているデータ構造に変換していきます。DartのNumber,Uint8Array,List,Mapへ変換していきます。

BencodeのNumberは、Dartのnumで表現できます。BencodeのStringは、UInt8Arrayで表現できます。Stringでないところは少しトリッキーです。Bencodeでは、バイト配列を扱うこともあります。Unicodeでは使えないデータもStringとして扱うことになりまいから、Stringでなく、UInt8Arrayを利用します。Bencodeのリストは、Dart言語の Listで、Bencodeの辞書は、Dart言語では Map で表現できます。

具体的には、以下のようなAPIを考えます。

class Bencode {
  static Uint8List encode(Object obj);
  static Object decode(List<int> buffer);
}

もちろん、Bencodeの実装は見慣れた形式に落とす方法だけではありません。BencodeのStringはBenString、ListはBenList、DictionaryはBenDict、といった専用のクラスに変換する方法も可能です。

Dartの Map は、BencodeのMapよりも扱える範囲が広いですから、Dartのデータ構造から、Bencodeのデータ構造へ変換ができないパターンがあります。例えば、以下のような形式はBencodeでは表現できません。

int // 0.1 といった少数点を含む場合
    // -1といつたマイナス値を含む場合

Map<int, String> // keyがStringでない場合

このような制約がある事を、BenString, BenList といった構造を定義する事でAPIとして表現する事ができます。

しかし、今回は「見慣れた構造に落とす」という方針で設計しました。

Bencodeはパースしやすい構造

Bencode はパースが容易な構造になっています。なぜならば、 どのデータ構造なのかが、最初の一文字目で判別する事ができるからです。

“i” ならば、整数。 “0123456789” のどれかならば、文字列、”l” ならばリスト、”d” ならば辞書 といった感じです。

これを、コードに直すと、以下のような感じになります。

int index = 0;
Object decodeBenObject(Uint8List buffer) {
  if( 0x30 <= buffer[index] && buffer[index]<=0x39) {//0-9
    return decodeBytes(buffer);
  } else if(0x69 == buffer[index]) {// i
    return decodeNumber(buffer);
  } else if(0x6c == buffer[index]) {// l
    return decodeList(buffer);
  } else if(0x64 == buffer[index]) {// d
    return decodeDiction(buffer);
  }
   throw new ParseError("benobject", buffer, index);
}

見ての通り、先頭の値に応じて処理が分岐しているだけで す。後は、おのおのデータ構造とみなして、変換してあげれば 完成です。

もっと Parser

Torrentクライアントを実装するにあたり、さまざまなプロトコルを実装していきます。 プログラム言語や自然言語ほど、複雑ではないので容易に解析可能です。 このタイミングでBNFで定義された文法を解析する方法について解説します。

BNF から機械的にパーサーを書くことができる

BNFで書かれた構文は機械的にパーサーを書く事ができます。

• 規則名をメソッドにする。
• ルールに文字列がでてきた場合、一致するかチェックする
• ルールに規則がでてきた場合、そのメソッドを呼び出す
• ルールに違反かる場合は、Exception をスローする。

プログラム言語、自然言語といったものは、もう少し工夫が必 要ですが、今回は、基本的なルールを守るだけで実装できま す。もう少し詳細な情報が欲しい場合は、「Language Implementation Patterns 」という本を読む事をお勧めです。

具体的に、Bencode 用のパーサーを作成しながら、見ていきま しょう。 例えば、Dictionary は以下のように書けます。

Map decodeDiction(data.Uint8List buffer) {
  if(buffer[index++] != 0x64) {
    throw new ParseError("bendiction", buffer, index);
  }
  Map ret = decodeDictionElements(buffer);
  if(buffer[index++] != 0x65) {
    throw new ParseError("bendiction", buffer, index);
  }
  return ret;
}

BNFと一対一の関係がある事が解ると思います。Dictionary は 27 「 “d” bendictionelements “e”」と文法で表現されます。ですか ら、”d”という文字か確認。 dictionelements のメソッドを呼 び出す。“e”という文字か確認する。 ルール通りです。

テストを書く

テストを書きながら、パーサーを書いていきましょう。まずは 整数からです。

unit.test("bencode: number", () {
  num ret = hetima.Bencode.decode(toBuffer("i1024e"));
  unit.expect(1024, ret);
});

このテストを満たすように、パーサーを書きます。bencodingで整数は、 「“i” *(0-9) “e”」と書けます。なので、これもル ールに従って以下のように書けます。

num decodeNumber(data.Uint8List buffer) {
  if(buffer[index++] != 0x69) {
    throw new ParseError("bennumber", buffer, index);
  }
  int returnValue = 0;
  while(index<buffer.length && buffer[index] != 0x65) {
    if(!(0x30 <= buffer[index] && buffer[index]<=0x39)) {
      throw new ParseError("bennumber", buffer, index);
    }
    returnValue = returnValue*10+(buffer[index++]-0x30);
  }
  if(buffer[index++] != 0x65) {
    throw new ParseError("bennumber", buffer, index);
  }
  return returnValue;
}

数字を取り出す部分が少し複雑ですが、無事テストが通るコー ドがかけました。この調子で、文字列、リスト、と同じように テストしながら、作成すれば完成です。kyorohiroが作成した物 は、以下にあります。「https://github.com/kyorohiro/dart_hetimatorrent」 事の顛末を知りたい方は参照してください。

Kyorohiro work

http://kyorohiro.strikingly.com

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